あなたが健康長寿を目指すなら、私たちをおびやかす病気の正体を知っておく必要があります。日本人がかかりやすい病気も昔と今ではかなり種類が変わってきています。まずは私たち現代に生きる日本人が気をつけておくべき病気について見ていきましょう。
現代日本人の死因
日本人の死因について、現時点で手に入る最も新しいデータは厚生労働省が発表している「平成28年人口動態統計月報年計(概数)」に載っているデータとなります。それによると死因の順位は次のようになります。
総死亡数1,307,765人
第1位 悪性新生物(ガン)372,801人(28.5%)
第2位 心疾患 197,807人(15.1%)
第3位 肺炎 119,206人(9.1%)
第4位 脳血管疾患 109,233人(8.4%)
第5位 老衰 92,759人 (7.1%)
( )内は全死因に対する死亡割合%
2016年に亡くなった人の数は130万7765人、そのうちガンで亡くなった人がダントツで多くなっています。だいたい3.5人に一人の割合ですね。実際にガンに罹患する人は2人に一人なので私たち日本人とってはすごく身近な病気となりました。
その次に多い死因は心疾患です。この病気は簡単に言うと、心臓の筋肉である心筋にはそこに酸素や栄養を送る冠動脈というものがあるのですが、この冠動脈が動脈硬化によって細くなって血流が悪くなる病気です。血流が悪くなるため虚血性心疾患とも言います。血管が細くなってその先の心筋に酸素が行かなくなると胸に痛みを感じる狭心症になります。さらに症状が進んで、完全に血流が遮断されると心筋梗塞となります。15%ほどの人がこの病気で亡くなります。
3番目に多い死因は脳血管疾患かなと思っている人が多いかもしれませんが、実は肺炎なんです。肺炎は戦後ずっと減り続けていたのですが、1980年に死因第4位となり、2011年に脳血管疾患を抜いて第3位となりました。これは明らかに高齢化の影響だと思われます。高齢者は肺炎にかかりやすく、また、肺炎をこじらせやすいからです。
そして第4位が脳血管疾患。脳血管疾患の主なものには、脳内の血管が破れて出血するタイプのものと脳の血管が詰まるタイプのものがあります。出血タイプのものは脳内で出血する脳出血と脳の表面を覆っているくも膜の下で出血が起こるくも膜下出血があります。血管が詰まるタイプの疾患は脳梗塞と言います。そして、これら出血タイプ、梗塞タイプの疾患を総称して脳卒中と呼びます。8.4%の人がこの病気で亡くなります。この脳血管疾患は1951年(昭和26年)からガンに抜かれる1981年(昭和56年)まで日本人の死因第1位であり、とても恐れられていました。この病気でやっかいなのは、たとえ命が助かっても何らかの後遺症が残ってしまう場合が多いことです。
少し意外だったのが死因の第5位が病気ではなくて老衰であること。これぞまさに日本が高齢化社会になったことを象徴しています。老衰で亡くなる人の割合は特に2007年(平成19年)以降ぐんぐん増えています。できればこの7.1%の人たちのように、病死ではなく安らかに一生を終えたいものですね。
日本人の年齢別の死因
以上が日本人全体の死因ですが、次に年齢別に死因の第1位について見ていきましょう。15歳以上の人について年齢別に死因の第1位を見てみると次のようになります。
15~19歳 自殺
20~24歳 自殺
25~29歳 自殺
30~34歳 自殺
35~39歳 自殺
40~44歳 悪性新生物
45~49歳 悪性新生物
50~54歳 悪性新生物
55~59歳 悪性新生物
60~64歳 悪性新生物
65~69歳 悪性新生物
70~74歳 悪性新生物
75~79歳 悪性新生物
80~84歳 悪性新生物
85~89歳 悪性新生物
90~94歳 心疾患
95~99歳 老衰
100歳以上 老衰
なんと15歳から39歳までは日本では自殺で亡くなる人が一番多いんですね。学生から働き盛りの人までの幅広い年齢の人が自ら死を選んでしまうのは何ともやるせない気持ちになります。現代日本人について言えば、肉体的な健康のみならず精神的な健康にも注意が必要です。
40歳から89歳まではガンで死ぬ人が一番多くなります。この結果からも、ある程度の年齢になったらガンという病気についての知識を深め、その予防に取り組んだ方がよいでしょう。
95歳以上になると老衰で亡くなる人が最も多くなります。これくらいの年齢まで生きた人は大病せずに一生を過ごせた人が多いのでしょうか。いずれにしても大きな病気をせずに生活を送れたら、人間は95歳くらいまでは普通に生きられることを物語っているのかもしれません。健康について個人の目標を持つならば、一生、生活習慣病にかかることなく、少なくとも90歳以上の年齢を目指して生きていくのが目標としてはよいのではないでしょうか。